
メイクを落とすのに必要不可欠である一方、配合成分や洗浄力によっては肌への負担が大きく肌荒れを起こしやすいといわれ、肌に合うものが見つかりにくいクレンジング料。
できるだけ肌に負担をかけずにメイクを落とすめに、保湿剤であるワセリンを使うという方法がSNSなど一部で話題になっています。
ドラッグストアやスーパーなどの身近なお店で、400円程度で買うことができ、ひとつあれば全身の保湿だけでなく、肌に刺激を与えずにメイクのクレンジングもできるのなら、一石二鳥ですよね。
この記事では、本当にメイクを落とせるのか、ワセリンのクレンジング力を検証してみました。
ワセリンでクレンジングはできる!?
左の写真がメイク(リキッドファンデーション・アイシャドウ・アイライナー・マスカラ・クリームチーク・口紅)を塗った手の甲で、右の写真がワセリンでクレンジングをした後の手の甲です。
一番下の口紅が少し残ってしまっていますが、他のほとんどのクレンジング料は落ちているように見えます。
しかし、クレンジングシートで手の甲を拭き取ってみると・・・
一見落ちているように見えたメイクの残りがクレンジングシートについてしまいました。
すすいだ後も手の甲にかなりのベタつきが残り、ワセリンに含まれている油分が手の甲にのった水分をはじいてしまうほど。
すすぎでしっかりとメイクを洗い流すことができず、メイクが肌に残ってしまったものと考えられます。
果たしてワセリンでのメイクのクレンジングは、本当に効果的といえるのでしょうか。
ワセリンの特徴や種類、効果だけでなく、筆者の顔を使ってのワセリンクレンジングレビューから、本当にメイクのクレンジングに向いているのかを見ていきましょう。
ワセリンとは
保湿剤として長く愛され続けているワセリン。
ワセリンと一言でいっても様々な種類があり、その種類によって違った特徴が見られます。
ワセリンの種類や効果について詳しく見ていきましょう。
ワセリンの種類は主に4つ
ワセリンは、原料である石油を精製し、限りなく不純物を取り除いた保湿剤です。
ワセリンの種類は主に4つに分けられ、一つ目はいわゆるプチプラといわれドラッグストアやコンビニなどでも手に入る「黄色ワセリン」。
さらにプロペトよりも精製度が高いのが「サンホワイト」で、どんな肌質の人でも安心な低刺激処方で不純物が少ないので、目の際などのデリケートな部分にも使うことができるのです。
これらの分類は精製度の高さによって分けられ、精製度が高くより肌につけてもアレルギーを起こしにくいのが「サンホワイト」、次に「プロペト」「白色ワセリン」「黄色ワセリン」と続きます。
黄色ワセリン | 白色ワセリン |
![]() | ![]() |
・分類:化粧油 | ・分類:「日本薬局方」と記載してあるもの→第3類医薬品 |
プロペト | サンホワイト |
![]() | ![]() |
・分類:第3類医薬品 | ・分類:化粧油 |
ワセリンの効果
ワセリンは100%油分のみで作られている保湿剤なので、ワセリン自体に肌にうるおいを与えるための保湿成分は入っていません。
ワセリンは化粧水や美容液のように角質層には浸透せず、肌の上で油分が膜を張っているような状態をつくります。
その油分の膜が、化粧水や美容液によって肌に与えられた水分を、肌の外に逃がしにくくする役割を果たすのです。
保湿用途は顔だけに留まらず、全身や唇、爪などのほか、髪の毛先に薄く伸ばしてツヤを出すなど様々な使い方があります。
家にひとつワセリンがあると便利ですよ。
本音レビュー|ワセリンでクレンジングは実際どうなの!?
メイクを塗布した手の甲を使いワセリンでクレンジングをした結果、メイク料は表面的にはほとんど落ちているように見えますが、実際には肌の上にメイク料が残ってしまっている状態でした。
そんなワセリンをいつものメイク料のクレンジングに使ったら、肌は一体どんな状態になるのでしょうか。
恐怖のワセリンクレンジング実験を筆者が体験し、本音でレビューしました。
ワセリンdeクレンジングを本音でレビュー
ワセリンの中でも一番クレンジングに向いているのは、テクスチャーがワセリン類の中でも一番柔らかい「プロペトホーム」や「プロペト」。
ですが、今回の実験ではプチプラでどこでも手に入る「白色ワセリン」を使用してクレンジングを行いました。
- 化粧下地
- パウダーファンデーション
- フェイスパウダー
- アイブロウ
- アイシャドウ
- マスカラ
- リキッドアイライナー
- リキッドチーク
- 口紅
上記のメイクアップ化粧品を使ってしっかりと普段のメイクをした状態で、白色ワセリンを使ったクレンジングを開始します。
アイメイク以外のメイクは薄付きなので、メイクの落ちがわかりやすいアイメイクの部分を中心に比較していきます。
クレンジング前


ブラウンのアイシャドウにブラックのマスカラ(ウォータープルーフではない)、アイライナーでアイメイクはばっちりの状態です。
普段クレンジングをする時に使用するクレンジングクリームと同様、マスカット大ほどの白色ワセリンを手のひらに取ります。
メイクとなじみやすくなるように、温めてテクスチャーを柔らかくしていきます。

クレンジング中
手のひらで温めた白色ワセリンを肌にのせて、実際にクレンジングしていきます。
肌にのせた瞬間はクレンジングバーム(半固形で、体温で液体に溶けていくタイプのクレンジング料)のような使い心地で、そこまで不快感はありませんでした。
メイク料となじんでいき、白色ワセリンの色がどんどんと茶色っぽく変化していきます。

アイメイクを落とす時にしっかりと目を閉じていないと目にしみて痛いので、目の際まで落とせているのか不安です。
すすぎ中
白色ワセリンとメイクがなじんだら、ぬるま湯ですすぎをしていきます。
・・・が、手の甲でのメイク落ち実験と同様、すすぎをしようとすると、ぬるま湯を白色ワセリンがはじいてしまって全くすすげません!
何回ぬるま湯ですすいでも、肌の上を水分が滑って全くすっきりしません。
これではすすぎの意味がないので、柔らかいティッシュを使ってメイクがなじんだ白色ワセリンを顔から拭き取ってからすすぎをするのがおすすめです。
ティッシュで拭き取った白色ワセリンはこちら。
ティッシュで頬を中心に拭き取りましたが、ファンデーションもしっかり落ちているように見えますね。
ティッシュで拭き取った後は顔についていた油分が減り、すすぎをしやすい状態になったので数十回に渡ってすすぎを行いました。

本当にメイク料が落とせているのかどうかすごく不安になる洗い上がりです。
クレンジング終了後
すすぎが終わり、顔全体の水分をふき取った状態がこちら。
クマ隠しのために厚めに塗っていたファンデーションやブラウンのアイシャドウもしっかりと落ちているように見えますが、マスカラはなじみきらずに残ってしまっているのがわかりますね。
ワセリンの油が肌に残っているような感覚があるので、頬や目元を中心に拭き取りクレンジングを使って、メイク料の残りがないか確認してみました。
やはりファンデーションやマスカラが残ってしまっていました。
このままの状態で眠ってしまったり過ごしてしまったりすると、メイクアップ化粧品に含まれる油分や着色料・防腐剤などが肌荒れの原因になりかねません。

本末転倒ですね。
結局、クレンジング料を使用した方が、洗い上がりのさっぱり感や洗い残しのなさが安心に繋がるのではないかと感じました。
メイク落としはクレンジング料を使おう
ワセリンは保湿剤ですが、100%油分で構成されているため、メイク料の油分となじんでメイクを落とすことができるのではないかと思う人もいるかもしれません。
しかし、ワセリンは本来クレンジング料として作られているものではなく、あくまでも保湿をするための化粧品(※プロペトは医薬品)です。
クレンジング料には油分だけでなく界面活性剤も含まれているため、油分以外の水溶性の汚れも落としやすくつくられています。
油分のみでつくられているワセリンとは、クレンジング後のさっぱり感が全く異なり、ワセリンでのクレンジングは油分がすすぎきれずに肌に残って違和感を与えることも。
さらに、ワセリンをクレンジング料として使う時は、体温で溶かして肌に伸ばしていきますが、粘度が高く肌を滑りにくいので摩擦による刺激を招きかねません。
当たり前ですが、メイクを確実に落とすならば、専用のクレンジング料を使い、保湿の際にワセリンを使用するようにしましょう。
クレンジング料による肌への負担が気になる人は、肌に優しい低刺激タイプのクレンジング料を選んでくださいね。
保湿としてワセリンを塗った次の日はクレンジングすべき?
夜のスキンケアの最後にワセリンを塗って保湿をすると、ワセリンの油分が顔に残り、翌朝テカリやベタつきが出てしまうことが多くあります。
油分は酸化すると黒ずみの原因になったり、ニキビなどの肌荒れの原因になることもあるのです。
クレンジング料を使用するとワセリンが持つ油分を取り除くことができ、さっぱりとします。
しかし、元々メイク料を落とすために多くの油分や界面活性剤を配合し、つくられたクレンジング料をメイク落とし以外に何度も使用するのは、肌荒れの原因になりかねません。
夜の保湿に使うワセリンの量を調節したり、朝の洗顔の際に洗顔石鹸を使用して洗顔するだけでも余計な油分が落ち、嫌なベタつきやテカリは充分抑えられます。
ワセリンの使用で日中テカリがでる場合も、保湿剤をワセリンから油分の少ない保湿クリームに変えるなどして、自分の肌状態に合わせてスキンケアの方法を見極めていきましょう。