
「ワセリン」といえば「保湿力が高くて安い!」と、老若男女に使われている保湿剤。

ワセリンは赤ちゃんにも使えるほど肌にやさしいということで「使いやすい」と重宝される一方で、こんなネガティブな噂があったりもするんです。
「ワセリンを塗ると日焼けしやすくなる」
「ワセリンを顔に塗るとシミができる」
これが本当だとしたら、ワセリンを使うのを躊躇してしまいますよね。
ましてや、日ごろからワセリンを赤ちゃんに塗っているというお母さんたちがこの噂を聞いてしまったら、「自分ならまだしも、赤ちゃんに塗ってたのに…」と自分を責めてしまうかもしれません。
本記事では、ワセリンで日焼けトラブルが発生するという噂の真偽を解説。
ワセリンの賢い使い方も紹介しています。
ワセリンユーザーも、ワセリンを使ったことがないけど興味があるという方もぜひ最後まで目を通してみてくださいね。
「ワセリンを塗ると日焼けする」は本当?
「ワセリンを塗ると日焼けする」という噂は本当です。
しかし、これはあくまでも自然なこと。
使い方を守れば、怖いことはありません。
以下で「ワセリンを塗ると日焼けする」理由を見ていきましょう。
ワセリンに日焼け止め効果はない
知っている方からすると当たり前かもしれませんが、ワセリンに日焼け止め効果はありません。
SNSやみんなの知恵共有サービス「Yahoo!知恵袋」を見てみると、「ワセリンを塗っているのに日焼けした」「ワセリンに日焼け止め効果ってあるの?」という趣旨の声が複数あがっています。
結論からいうと、ワセリンで日焼けを防ぐことはできません。
理由はワセリンの成り立ちを見てみると、一目瞭然です。
ワセリンとは石油の不純物を取り除きつくられた保湿剤(鉱物油)。
ワセリンは性質上、肌の角質層へ浸透することはありません。
肌を保護する力が高く、傷口の保護や乾燥肌対策に使われています。
ワセリンは石油からできた非常にシンプルな成分で、紫外線を防ぐ成分は配合されていません。
なので、「ワセリンで日焼けを防げる」と思っている方は、まずその固定概念は捨ててしまったほうがよいでしょう。
ワセリンで日焼けは防げません。
純度が高いワセリンで油焼けは起こらない
SNSや「Yahoo!知恵袋」を見ていると、こんな疑問もあがっていました。
例えば、「ワセリン塗って外出するとシミになるって本当?」「ワセリンは油焼けが心配」など。
もしこれが本当だったら、ワセリンを使うのが怖くなってしまいますよね…。
でも、現代において、化粧品が原因で油焼けが起こることはないんです。
油焼けとは、簡単にいうと、鉱物油に含まれる不純物が原因で肌トラブルが起きてしまうこと。
(※油焼けについての詳細は、ひとつ下の見出しに書いています)
「花王」や「資生堂」などの大手メーカーも、「純度が高い油分によって油焼けは起こらない」ということを公式HP上で伝えています。
つまり、純度が高いワセリンで油焼けは起こりません。
ただ、インターネットやSNS上の油焼けに関する投稿を見ていると、人によって「油焼け」という言葉のとらえ方がまちまちなことに気がついたんです。
また、「純度が高いのは大丈夫でも低いのはダメなの?」「純度が低いワセリンってどれ?」という声も聞こえてきそうです。
以下で、「油焼け」と「純度」について順番に整理していきたいと思います。
油焼けとは?
油焼けとは、化粧品に使われる鉱物油の中に混じっている不純物が肌に刺激を与え、色素沈着や肌トラブルを引き起こすことをいいます。
ワセリンも鉱物油なので、その関係からワセリンと油焼けの関係が噂されるようになったんでしょう。
ただし、油焼けが起こっていたのは戦後~1970年代にかけての話。
今は、油の不純物を取り除く精製技術が進んだことで、鉱物油自体のクオリティが上がっています。
なので、化粧品に使われる鉱物油の中に、油焼けの原因になるほどの不純物が混ざることはないんです。
まず、油焼け自体について、分かっていただけたでしょうか…?
ここからは油焼けの解釈の話です。
インターネットやSNS上で見られる油焼けのおもなとらえ方は以下の2パターン。
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油焼けは1であり、2は油焼けではありません。
2の解釈は肌に塗ると日焼けしやすくなるサンオイルのイメージからきていることが考えられます。
…が、肌に油分を塗ったからといって、サンオイル並みに真っ黒になることはありません。
通常のスキンケアの範囲で使用する分には何の問題もないんです。
ワセリンは4種類に分類される
先ほど、「純度が高いワセリンで油焼けは起こらない」と言いました。
では、「純度が高いワセリン」とはどういうものを指すのでしょうか?
一口にワセリンといっても、ワセリンは4種類に分類され、種類によって純度が異なります。
以下、特徴をまとめました。
ワセリンの種類別まとめ (※上から純度が低い順)
黄色ワセリン |
【特徴】
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【おもな商品】 ヴァセリン オリジナルピュアスキンジュエリー(Vaseline)
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白色ワセリン |
【特徴】
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【おもな商品】 【第3類医薬品】日本薬局方 白色ワセリン(健栄製薬)
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プロペト |
【特徴】
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【おもな商品】 【第3類医薬品】プロペトホーム(丸石製薬)
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サンホワイト |
【特徴】
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【おもな商品】 サンホワイトP-1(日興リカ) 400g / 2,945円(※Amazon参考価格) |
ワセリン4種類を純度が低い順に並べると以下のようになり、ワセリンの中ではサンホワイトがもっとも純度が高いです。
サンホワイトは純度が高いので、肌荒れしてしまう可能性が低く、肌が薄い赤ちゃんやアトピーなどの敏感肌の方でも刺激が起きにくいワセリンとされています。

「ヴァセリン(Vaseline)」はワセリンの種類の1つなどではなく、1870年にアメリカで誕生したブランドの名前。
インターネットやSNSで「ヴァセリン」と呼ばれているのは「ヴァセリン オリジナル ピュアスキンジェリー」のことなんです(※商品情報は黄色ワセリンの表に書いています)。
油焼けが不安なら純度が高いワセリンを
「ワセリンには4種類ある」と知ってもらったところで話を油焼けに戻します。
油焼けの原因は不純物でしたね。
では、「純度が低い黄色ワセリンは不純物が混じっているから使わないほうがいいのかな…?」と思いますよね。
先ほども少し話題にあげましたが、基本的には現代において化粧品で油焼けすることはありません。
とはいえ、黄色ワセリンに不純物がまったく入っていないか?というと嘘になります(※もちろん一定の精製度はクリアしています)。
なので、油焼けがどうしても不安という方には、純度が高いワセリンを使用することをおすすめします。

ということで、油焼けが不安な方は、サンホワイトの使用がおすすめです。
ワセリンで日焼けするのは自然なこと
ここまで油焼けの話をはさみながら解説してきましたが、油焼けと日焼けは別物です。
冒頭でお伝えしたように、「ワセリンを塗ると日焼けする」という噂は本当です。
理由は大きく2つです。
- ワセリンに日焼け止め効果がないから
- 肌にクリームを塗ると一時的に日焼けしやすくなり、同じことがワセリンにもいえるから
「1.ワセリンに日焼け止め効果がないから」については、最初にお伝えしたように、ワセリンに紫外線を防ぐ成分が配合されていないからです。
「ワセリンを塗ると日焼けする」というのは、ごくごく普通のこと。
「日焼けする」といっても、ワセリンを塗ったからといって、サンオイルを塗った時のように真っ黒に日焼けするわけではありません。
正しい日焼け対策を行えば、何ら怖いことはないんです。
ワセリンと日焼け止めは併用がおすすめ
これまでワセリンと日焼けの関係性や噂について紹介してきました。
ワセリンの役割はあくまで肌の保護。
さらに、ワセリンなどのクリームを肌に塗ると、一時的に日焼けしやすくなることもわかりましたね。
日焼けを気にする場合、ワセリンを塗るときは日焼け止めも一緒に使うことをおすすめします。
なかには「ワセリンと日焼け止めどっちを先に塗ったらいいの?」「ワセリンのあとに日焼け止めを塗ったらベタベタしそう」などと思う方もいるかもしれません。
ワセリンは塗る順番を間違ってしまうと、日焼けを促してしまうことも…。
以下で、ワセリンと日焼け止めを併用するときの正しい方法を紹介します。
ワセリンと日焼け止めの正しい併用方法
ワセリンと日焼け止めを併用するときは、必ずワセリンを先に塗りましょう。
スキンケアの手順は以下にまとめました。
- 洗顔後、化粧水で肌を保湿する
- 米粒大くらいのワセリンを手に取る
- 手のひらでワセリンを温め、伸ばし、顔にやさしく押し当てる
- ワセリンが顔になじんだら、ワセリンの上から日焼け止めを塗る
日焼け止めを先に塗ってしまうと、上からワセリンをかぶせて塗ることにより、日焼け止めの効果が薄れてしまいます。
そうするとせっかくの日焼け対策の意味がなくなってしまいますよね。
ワセリンと日焼け止めを一緒に使う時は、必ずワセリンを先に、日焼け止めを後に塗るようにしてくださいね。
ワセリンと日焼け止めを併用するメリット
先ほど、日焼け止めとワセリンを正しく使わないと日焼け止めの効果が薄れてしまうとお伝えしました。
…が、逆に、ワセリンは正しく使うと日焼け止めの効果を助けてくれるというメリットがあるんです。
- 日焼け止めの塗りムラを防げる
- 日焼け止めの刺激から肌を守れる
以下で1つずつ説明します。
日焼け止めの塗りムラを防げる
日焼け止めがキシキシしたり伸びがよくなかったりして「うまく日焼け止めが塗れない」という経験はありませんか?
ワセリンは肌表面の凹凸を整え、肌をなめらかする働きがあります。
なので、ワセリンを先に塗ると、次に塗る日焼け止めの伸びがスムーズになり、塗りムラを減らすことができるんです。
日焼け止めを塗るときのストレスも減らせそうですね。
日焼け止めの刺激から肌を守れる
日焼け止めは紫外線から肌を守ってくれる日焼け対策には欠かせないアイテム。
ただ、日焼け止めには紫外線を防ぐための成分が配合されており、肌のコンディションによってはその成分が肌の刺激になってしまうこともあります。
そこで活躍してくれるのがワセリンです。
ワセリンは肌の表面に膜を張るようにして肌を保護してくれますよね。
なので、日焼け止めを塗る前にワセリンを塗っておくことで、日焼け止めの成分が肌に直接的に触れるのを防ぐことができるんです。
また、ワセリンは肌に膜を張って肌内部の水分蒸発を防ぐことができるので、日焼けによる乾燥から肌を守ってくれる役割も。

日焼け対策をするときは、ぜひ、ワセリンをうまく使ってみてくださいね。
ワセリンは日焼け後のスキンケアに使える
「日焼けした箇所が痛くてどうにかしたい」「うっかり日焼けしてしまい、早く元に戻したい」など、日焼け後のスキンケアにもワセリンは有効です。
日焼け後の肌は軽いやけどのような状態になっており、とてもデリケート。
肌が熱をもつことで普段より乾燥しやすくなっているので、肌の保湿が欠かせません。
以下で、日焼け後の肌にワセリンが使える理由と正しい使い方を紹介していきます。
ワセリンの役割は肌の保護
ワセリンは肌の保護に最適で、その実力は病院で肌の保護剤として使われるほど。
肌の表面にとどまり膜を張ることで、肌を外的刺激から守ってくれます。
そして、その働きは日焼け後の症状をやわらげることにもつながっているんです。
以下で補足していきます。
日焼け後のヒリヒリを和らげる
外気によって肌の神経が刺激されてしまうと、日焼け後のヒリヒリのような痛みが発生します。
乾燥によって肌がかゆくなったり痛くなったりするのと同じです。
ワセリンは肌の表面を覆い、外気や外的刺激から肌を守ってくれるので、ヒリヒリ感や痛みを和らげてくれる可能性があるんです。
肌のターンオーバーのリズムを整える
肌のバリア機能が整ったすこやかな肌はターンオーバーのリズムが正常なため、肌が適宜新しい肌に生まれ変わっています。
しかし、肌がダメージを受けてしまうとターンオーバーが正常に働かなくなってしまいます。
日焼け後の肌は、ターンオーバーのリズムが乱れてしまっている状態。
ターンオーバーが乱れると肌の生まれ変わりのリズムが狂い、シミなどの肌トラブルの原因になってしまいます。
ワセリンは肌の表面を覆うことで肌のバリア機能を助ける働きをします。
バリア機能が整うと肌内部の水分量が保たれ、ターンオーバーのリズムも整い、すこやかな肌へと戻りやすくなるんです。
ワセリンを使った日焼け後のスキンケア方法
ワセリンは肌を保護し、肌内部の水分が蒸発するのを防いでくれるので、肌が乾燥しやすくなっている日焼け後のスキンケアに向いています。

肌の赤みやヒリヒリが引いてきたら、以下の手順でスキンケアを行ってくださいね。
- 日焼けした箇所を冷やす
- 肌にやさしい洗顔料やボディーソープで肌を洗う
- タオルでやさしく水分をとる
- 適量以上の化粧水を何度かに分けて重ねづけする
※一般的には化粧水の適量は500円玉大とされています - ワセリンを手で伸ばし、日焼けした箇所に薄く塗る
※使用量目安は顔だと米粒大
ワセリンの使用量目安は顔だと米粒大。
ほかの箇所に塗るときも、同程度を目安にしてくださいね。
ベタつきが気になるほど塗ってしまうと、ホコリや花粉などを肌に付着させてしまい、衛生的にもよくないです。
また、日焼け後のスキンケアの応用編として、基本編の手順1~5を行った後に「日焼け箇所にラップを巻く」というものがあります。
これはやけどの治療として行われることがあるもの。
「京都逓信(ていしん)病院」のブログ内の「湿潤療法による熱傷(やけど)の治療」に、ワセリンとラップを使った治療方法が書いてありますが、自己流で行ってしまうと細菌感染などを招く可能性があるので注意が必要です。
日焼け後に赤みや痛みがひかなかったり、水ぶくれができてしまったりしたら、自己判断で応急処置を続けずに皮膚科へ行くことをおすすめします。
番外編|ワセリンは「万能」なわけではない
ワセリンが肌の保護に適しているということ、分かっていただけたでしょうか?
ただ、ワセリンはすべての肌トラブルを解決できるわけではないんです。
例えば、ワセリンは肌の保護はしてくれますが、肌に水分を与えてくれるわけではありません。
ワセリンは化粧水などと違って肌の角質層へ浸透するわけではなく、肌の表面に膜を張ることで肌内部の水分が蒸発するのを防ぎます。
なので、乾燥肌の方が肌の保湿目的でワセリンを使っても乾燥肌が解決するわけではありません。
化粧水で肌に水分を補ったあとに使うことではじめてスキンケア化粧品としての意味を成すんです。
また、ワセリンは肌の表面にフタをするので、脂性肌の方やニキビを気にしている方には向きません。
ワセリンが肌の表面にとどまり、肌の油分が増えたり毛穴をふさいだりすることでかえってニキビを悪化させてしまう可能性があります。
ワセリンの目的はあくまで肌の保護であり、美容成分や保湿成分が配合されているわけではありません。
ワセリンはほかのスキンケア化粧品と組み合わせながら、目的に合った使い方をすることが大切です。
まとめ
ワセリンと日焼けの関係性について紹介しました。
ワセリンにはネガティブな噂もありますが、用途を守って使えば何も怖いことはありません。
また、ワセリンには日焼け止めの効果を間接的に高めてくれたり、日焼け後の肌のコンディションを整えてくれたりといったメリットがあります。
ぜひワセリンを賢く取り入れて、スキンケアに役立ててくださいね。
そういうこともあり、ワセリンという言葉を耳にしたり使ったりしたことがある方がほとんどではないでしょうか?